現在開会中の国会において「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」という名称の全部で11本の法律案、いわゆる安保関連法案が一括して審議されています。
安全保障環境の変化が唯一の口実
これらの法案は、安全保障環境の変化を唯一の口実に、武器使用の条件を拡大し、さらには憲法が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能とするものであり、これまで歴代内閣が一貫して保持してきた憲法解釈、専守防衛の理念を根底から覆すものです。この法案が成立すれば、世界中のどこであっても自衛官が他国軍と共に任務遂行のための武器使用が可能となることから、様々なリスクが増大すると指摘されています。
さまざまなリスクが増大
たとえば自衛官が殺し殺されるリスク、紛争当事国となることで日本国内外で国民がテロの被害に遭うリスク、些細な武力衝突が戦争に拡大するリスク、近隣諸国との抑止力競争によって増大する防衛予算を捻出するために国民生活が犠牲になるリスク、それらのリスクについて安倍政権は十分説明せず、国会でもまともな答弁を行っていません。
憲法学者、歴代内閣法制局長官が批判、読売新聞世論調査も反対多数
6月4日の衆議院憲法審査会で与党推薦を含めた憲法学者全員が安保法案を違憲とし、6月22日の特別委員会参考人質疑で2人の元内閣法制局長官が解釈改憲は許されないと断じました。7月上旬に実施された読売新聞の全国世論調査では、安保法案に反対が50%(賛成36%)、今国会での成立に反対が63%(賛成25%)、政府の国民への説明については不十分が80%(十分13%)に達しています。
いのちを守る医師・歯科医師として
先の戦争で、国内の医療や医薬品等の物資は制限され、医師は戦争遂行のための医療に傾注させられました。外交努力を軽んじ抑止力こそが国を守るという安倍政権の考え方は軍事優先で国民のいのちと健康がないがしろにされた歴史の再現ではないかと危惧します。
私たち富山県保険医協会は、県民のいのちと健康を守る医師・歯科医師として、多くの国民の理解を得られていない安全保障関連法案の強行採決に反対し、今国会で廃案とすることを求めます。
記
一.安保関連法案の強行採決に反対し、今国会での廃案を求めます。
2015年7月13日
富山県保険医協会理事会