医療支援、JMAT⑤

第5陣 避難者の方々が1日も早く普通の生活に戻れるように

内科小児科井川クリニック 井川 晃彦

左から、富山市医師会の牧野さん、山内さん、井川医師、千葉県薬剤師会の伊藤さん、表寺看護師(済生会富山病院)、南看護師(南砺市民病院)、田中薬剤師(富山中央薬局)

 4月4日から9日までいわき市で医療支援活動を行ってきました。高速道路を下りていわき市内に入ると、思っていたほど壊れた建物もなく、ガソリンスタンドやスーパー、コンビニも営業していて市内中心部は普通に生活できるようになっていました。 

心のケアチームや血栓症チームも巡回

 巡回診療では毎日6~8カ所程の避難所を担当しました。最初はこちらも遠慮がちでしたが、同じ避難所を毎日巡回するのでだんだん顔見知りになり、被災者の方の警戒(?)もとれ会話も弾むようになりました。看護師さんをはじめチームの皆さんは話を傾聴したり世間話をしたりしてうまくコミュニケーションをとってくれ、薬剤師の方がチームに配属されていたので薬の管理を任すことができ診療に専念できました。  

真ん中の黒いトレーニングウエアの方がいわき市医師会長。ちょうど日本医師会の副会長が表敬訪問にきていた(左側)。

 この時期には病院や診療所、薬局も再開しており、状態の悪い方は避難所にはおらず、夜間に病院も受診でき医療体制は整っていた様子でした。精神科と小児科の先生で作る心のケアチームや福島医大の血栓症チームも巡回していて、気になる患者さんがいれば各県の医療班が集まる夕方のミーティングで申し送ります。

 避難所は日中、人少なく

 ただ、避難所によっては巡回しても日中は仕事や家のかたづけに出かけていて人も少なく、効率よく巡回できていません。ミーティングでは夜にも巡回してはどうかとか、チームが変わっても治療内容がわかるように、診療録を複写式にして本人に渡すなどの意見も出されて、状況に応じて活動の方法を話し合っていく必要を感じました。  
 巡回が早く終了した日に津波被害の大きい小名浜や久ノ浜周辺を見てきました。海岸沿いを走るとあちこち家が壊れていて市内からは想像できない風景が広がっており、特に久之浜は一面瓦礫の山で言葉を失いました。このような被災地の状況を見ると復興が進み避難者の方々が1日も早く普通の生活に戻れるよう願わざるを得ません。
 富山に戻り一緒に活動した第5陣の皆さんと再会を約束して解散しました。無事支援活動を終えることができチームの皆さんに感謝いたします。

(2011年5月15日 とやま保険医新聞)

医療支援:JMAT⑥

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