2011.6.10  臨床懇話会 慢性期医療の褥瘡対策

~これでわかった!床ずれのラップ療法~

講師:大崎市民病院鹿島台分院診療部長
      たかせクリニック 顧問  

                         鳥谷部 俊一 先生

 

〈臨床懇話会・開催報告〉褥瘡のラップ療法に216名

  6月10日、鳥谷部先生の講演会「慢性期医療の祷瘡対策~これでわかった!床ずれのラップ療法」には、「臨床懇話会」としては異例とも思える216名もの参加者(医師・歯科医師44名、スタッフ172名)が集まりました。平日の夜にもかかわらず、こんなにも多くのスタッフ(大多数が女性)が集まったことに、祷瘡の治療・ケアが医療および介護の現場でいかに大きなテーマであるかを実感させられました。鳥谷部先生が、知る人ぞ知る「ラップ療法」(正式には「開放性湿潤療法」)の創始者であり、「消毒とガーゼ」の伝統的治療法と闘ってきた「闘士であり反逆児」であることも、多くの人が時間を割いて聴きに来た理由であったかと思います。

発案以来日々進化しているラップ療法

 講演は、いきなり「私の話は速いので手元の資料は見ずにスライドに集中してください。資料は家に帰ってからじっくり読んでください」との出だしで始まり、無駄な言葉のない簡潔明瞭な講義が「高速で」進みました。「なかなか治らなかった祷瘡もラップ療法で、ほれ、この通り」という感じで「あっけないほど」良くなった症例の写真を次々と見せられて、驚いている暇がありません。

 食品用ラップを貼るだけで褥瘡が改善することを鳥谷部先生が発見したのは1996年とのことです。それ以来15年間工夫と改良を積み重ね、理論的根拠も明らかにし、エビデンスも作り上げてきた「苦労の産物」を一時間ちょっとの講義で理解し、納得するのは初めて聴く人には少々無理があったかも知れません。

 私も「紙おむつと穴あき水切り袋」の「ラップ療法」を実践していましたが、今度は「ペットシーツにワセリン」へとさらに大胆な材料へと進化しているのに驚きました。一方では、病院でも堂々と使える医療用衛生材料がラップ療法から生まれていることに少し安堵もしました。

褥瘡研修会パート2の要望も

 単純明快過ぎて一見「魔法」のようでもあり、確信に満ちた言い方には良く言えば「先覚者」、悪く言えば「教祖様」の雰囲気がありました。長年の臨床経験から発せられる大胆な提言(感染症や栄養管理などについて)もあり、先生自身は「(本音を)言えてすっきりした~」と仰っていましたが、聴かされる側には「にわかに信じかねる」「ついていけない」という感想もあったようです。今回の講演を消化不良のままにせずに、臨床現場に活かし、富山県の裾瘡ケアを進化させるため「祷瘡研修会パート2」を開催して欲しいとの要望もどこかから聞こえてきました。

 (富山県保険医協会理事・大澤 謙三)