2011.8.24  チャレンジ!在宅緩和ケア ~がんと非がんの在宅緩和ケアの実際~


          講師:東京ふれあい医療生活協同組合
        梶原診療所在宅サポートセンター長
        全国在宅療養支援診療所連絡会世話人

                    平原 佐斗司 先生 

今後重要になる非がん患者の緩和ケア

 これまでの「緩和ケア」は、主として「がんの痛みや苦しみ」の緩和に焦点があたっていました。がん対策基本法によりがん対策が推進され、まだ不十分ではありますが保険診療上も優遇されるようになってきました。しかし本来の「緩和ケア」は疾患を問わず生命を脅かす疾患を患うすべての患者に対して開かれているべきものでありますが、がん患者以外ではあまり考慮されていないのが現状のようです。非がん患者であっても病気の苦しみは同じであり、日本の死亡の2/3が「非がん疾患」であることを考えると「非がん疾患の緩和ケア」こそ、今後重要になるようです。

 ところで、私が平原先生の講演の中で意外に感じたのは、在宅を積極的に行っている医療機関ではがん患者の自宅での死亡率が50%を越えるが、非がん患者は50%を越えることは少ない。つまり、在宅医療を積極的にすると、がん以外の患者のほうが最期まで看とることが難しいということでした。

 このことは在宅医療を積極的に行っている各地域に共通することのようで、がん末期は症状や臨床経過において一定の共通性や法則性があるため予後予測が比較的容易であることにたいし、非がん疾患はその逆の特徴があることによるようです。

 非がんは予後予測が困難、長期で家族の負担大きい。非がん疾患の緩和ケアを困難にしている要因としては、

1.予後予測ががんに比べて困難であること
2.がんでは痛みなどの症状コントロールがマニュアル化しているが非がん疾患では明確なものがないこと
3.非がん疾患では高齢者が多く身体機能が衰えており罹病期間が長いため、がんのように短期間ではなく家族の心理的、身体的、経済的な負担が大きいこと

などが考えられています。

 これから日本の社会が超高齢者社会に直面しようとしていることを考えると、がん患者の緩和ケアはもちろん重要ではありますが、非がん患者に対する緩和ケアのニーズは高く、今後遭遇する機会は多くなると考えられます。そのため非がん疾患に対する緩和を積極的に実践していくことが改めて必要であると感じました。

(高岡市・なのはなクリニック 林 智彦)