2012.3.24~25  医科 新点数説明会に903名

 協会は4月の診療報酬改定を前に、富山と高岡の2会場で新点数説明会を開催しました。
 3月24日(土)のウイングウイング高岡4Fホールには239人、翌25日(日)の富山国際会議場は664人、合計で医科開業医会員の60%にあたる331医療機関から、903人が参加しました。 

 開会あいさつで矢野会長(富山会場)、大澤副会長(高岡会場)は、今次酬改定は実質0.004%のプラスと限りなくゼロに近い引き上げであるとともに、「一体改革」の方針に沿って「入院から在宅へ」「医療から介護へ」の流れを誘導し必要な医療を制限する内容であり、協会は今後も道理のない医療政策には反対し、改善に取り組んでいきたいと述べました。一方で新点数への対応については、今日の説明会を役立ててほしいと呼びかけました。
 改定内容の説明は、外来点数を成瀬理事と川瀬副会長が、入院点数を藤井理事が担当し、富山協会も編集に協力した保団連発行の『点数表改定のポイント』を使って変更点を解説しました。 

今次改定をどう見るか  新点数説明会協会講師団に聞く

「医療崩壊を防ぐため、さらに自己犠牲に精進せよ」と主張しているようだ

「外来の部・前半」を担当した成瀬隆倫理事

 今回の改定では、開業医に対して2つのメッセージを発しているように感じた。1つは病院勤務医の負担を減らす協力をすること、1つは在宅医療をすすめること。

本気で待遇改善するなら勤務医2人分を公平に

 まず、初・再診料においては、地域医療貢献加算が時間外対応加算と名称変更し3分類とされた。病院勤務医の負担軽減はわかるが、時間外対応加算「1」を算定した場合は24時間電話対応が求められるのに5点加算がつくだけである。
 病院においては同一日に2つの診療科を受診した場合の2科目再診料、2科目外来診療料が新設された。しかし算定は違う傷病で2つの科を受診した場合に限っている。病院勤務医の待遇改善を考えるならば、診察した2人の医師の診察料は公平に評価されるべきである。
 初診料・再診料・外来診療料は基本的な技術料に当たるわけで、結局開業医には若干の点数で時間外診察を強制し、病院には見せかけの評価でごまかしているように感じられる。

屋内禁煙を促進する管理料設定

 医学管理料においては、14項目が新設され、10の項目で点数が引き上げられた。救急医療をになう医療機関や産科での点数引き上げが目立ったような気がする。また屋内禁煙を算定要件とする管理料が増えたことも目新しい。
 在宅医療においては、強化型支援診・支援病の新設が大きな変更点かと思う。

強化型支援診のハードルは高

 これまでと大きく違う点は、算定には過去の実績を必要とすることであろうか。富山においては、診療所が強化型を届け出るには在宅支援連携体制の構築が必要になると思われるが、患者窓口の一本化や情報共有のためのカンファレンスの実施など算定のためのハードルは高い。また強化型では病床を有すればより高い点数を算定できることになったが、これまで政策的に病床を減らしてきたわけなのに、なにを今さらという感をぬぐいきれない。
 在宅療養指導管理料では7つの点数が新設された。また重度褥瘡処置患者に皮膚欠損用創傷被覆材を支給できるようになったのは改善点かと思う。
 WHOが賞賛した日本の医療制度は、医師の自己犠牲のもとに成り立っていたと言っても過言では無いと思う。医療崩壊を防ぐため、さらに自己犠牲に精進せよ、今次改定はそう主張しているように感じられる。

 

中小病院や診療所の機能を軽視した改定 今後も社会保障費の充実を求めたい

「外来の部・後半」を担当した川瀬紀夫副会長

政策誘導の強い改定内容

 外来点数の検査以降の後半部分についても、ほとんどが政策誘導の強い改定内容である。
 今回新設あるいは引き上げられた項目は、届出を要するか算定要件を追加されたものがほとんどで、従来から行ってきている一般的な検査や技術は、引き下げとなったものが多い。診療所や中小病院にとっては、新たに届出を行わなければ実質的には横ばいか引き下げとなる改定と言える。具体的にみてみよう。
 検査では検体採取の血液採取料が3点引き上げられたものの、判断料は据え置き、生化学検査(Ⅰ)などの包括項目点数は引き下げられた。
 画像診断ではCTの区分変更で64列以上でなければ、横ばいか引き下げであり、50点引き上げられた64列以上も施設基準の追加や届出を要し、要件を満たさなければ横ばいである。MRIもほぼ同様の改定が行われた。

後発医薬品へ強引に誘導

 投薬で追加された一般名処方加算(2点)は義務化されたものではないが、前回の改定で引き下げられた再診料をもどすことをせずに、後発医薬品の使用促進に転用したものと言える。処方せん様式の変更と同様に後発医薬品への誘導を強引にすすめようとするものである。
 リハビリテーションでは、14日間の初期加算を新設したものの、それ以降は引き下げとなり、維持期リハは次回改定での介護保険への移行が予告された。高齢者医療にとって、リハビリがいかに重要かをわかっているのだろうか。
 精神科専門療法では通院・在宅精神療法の点数が引き上げられたが、厳しい算定要件が課され、要件を満たさない場合は引き下げとなった。

危惧される電子レセプトの突合・縦覧点検

 電子レセプトの突合点検・縦覧点検の実施は、薬の適応症、投与量、投与日数、禁忌病名の有無、薬の併用禁忌の有無など、より厳密な点検が必要になったと思われるが、現場の事務負担を大きくするだけでなく、個々の患者に適した現場の裁量に悪い影響を及ぼすのではないかということが危惧される。
 ほとんどゼロという改定率のなかでの配分は、地域の第一線医療を担う診療所や中小病院の機能の評価を軽視したものであり、今後も社会保障費の充実を求めていかなければならないだろう。

 

中小病院が大病院と診療所の間で真剣に連携すべき時期にきている

「入院の部」を担当した藤井久丈理事

               施設基準は高くなったが要望していた改善は少ない

 入院部分の改定では、入院の質向上という切り口で施設基準がより高く設定された。入院料では、栄養管理や褥瘡患者管理が算定要件とされた上で、栄養管理実施加算と褥瘡対策管理加算が廃止され、結局は減額である。看護必要度は入院の質測定として普及され、7対1病棟での引き上げ、10対1での必須化、13対1でも評価加算が新設された。回復期リハビリ病棟も看護配置、在宅復帰率、重症者回復割合などが高く、看護必要度の基準がある質の高い「1」が新設された。しかし要求される入院の各基準は高くなったが、私たちが要望していた改善は少ない。例えば、入院中の他院受診時の入院料減額等は不消化のままである。緩和されたのは結核・精神病棟などの入院患者が透析や一部検査で他院を受診した場合に限られた。

在宅や施設からの緊急入院にインセンティブ

 超急性期病院から一般病院や療養病院、13対1、15対1病床へのスピーディな転院の流れは退院調整加算の引き上げや、7日以内までに緩和された救急搬送患者地域連携の紹介加算・受入加算で加速されるかも知れない。
 また在宅患者緊急入院診療加算(一般、療養その他)の引き上げや救急・在宅等支援病床初期加算(13対1、15対1)の新設は在宅患者や施設患者の軽度悪化に対応するインセンティブになるとも思われる。
 今回の改定の仕掛けはわからんでもないが、酷な話で沿うことは至難の技ではある。しかし中小病院が、救急を背負う大病院と在宅を担う診療所の間で、真剣に連携を持つべき時期に来たと個人的には確信している。