2012.5.16  雇用管理研修会「雇用のトラブル事例とその対策 」 桂好志郎氏

 雇用管理研修会 桂好志郎氏

雇用のトラブルとその対策 ①

 5月16日に開催した雇用管理研修会「雇用のトラブルとその対策」の要点を順次掲載します。今回は、育児介護休業法に関する内容です。
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講演する桂好志郎氏(2012年5月16日 富山電気ビル5F中ホール)

 さて、育児介護休業法に関する相談事例とその対策についてです。
 2010年の改正育児介護休業法(以下、育介法)の施行に伴い、育介法に関する相談が倍増しています。今年の7月1日からは全面施行され、これまで職員数が100人以下の病医院には適用が猶予されていた制度についても適用になります。そこで改正育介法の内容や職員からの育児休業の申し出があった際の対応、院長がどういったトラブルに巻き込まれてしまうのか、といったことについてお話しします。

育児休業制度を設けることを事業主に義務づけ

 育介法では、子どもが満1歳になるまでの間、育児休業の制度を設けることが事業主に義務付けられています。
 これが改正によって両親ともに育児休業をするなど一定の要件を満たす場合は、原則1歳までから1歳2カ月までに延長できるようになりました。また、保育所に預けられないなど、子が1歳を超えても休業が必要と認められる場合には、1歳6カ月に達するまで休業を延長することができます。
 育児休業制度を利用できるのは、原則として1歳未満の子を養育する全ての男女従業員です。ただし期間雇用者の場合は、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上で、子が1歳に達する日以降も引き続き雇用されることが見込まれることを「申し出時点」で満たす期間雇用者です。このように期間雇用者については、いつの時点で「申し出」たのかが問題になるのです。
 例えば平成24年の4月1日に職員を採用したとしましょう。採用して半年も経たないうちに妊娠し、翌年の6月に出産したとします。妊娠した時点では雇用された期間が1年を経過していませんが、出産後には1年を経過し、育児休業制度の利用の対象者となる要件を満たしていますので、この職員は申し出をすれば育児休業を取得することができるのです。

運用のポイント

 手続きとして職員は休業開始1カ月前までに、書面等で院長に申し出る必要があります。申し出があった場合、院長は①育児休業申出を受けた旨、②育児休業の開始予定日及び終了予定日、③育児休業を拒む場合は、その旨及びその理由、を速やかに通知してください。なお、この制度の申出や取得を理由として、解雇など不利益な取り扱いは禁止されています。

認めなかったケースでの トラブル事例

 これに関する典型的なトラブルの事例は、採用後に妊娠が明らかになった期間職員が、育児休業がとれるかどうかを人事に確認したところ、育児休業がとれる条件を満たしているにもかかわらず、認めなかったものです。そのため期間職員から、「本来ならば育児休業ができた期間の子の保育園にかかった費用、家族への負担等に対して補償をしてもらいたい」等と言われてトラブルになりました。先生方は、こういったトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。 

(続く)

 

参加者の感想から

雇用契約の内容をお互いが認識し、その約束を守ること

 保険医協会の雇用管理研修会に参加しました。
 講師の桂好志郎先生のお話は、とてもテンポが良く、わかり易いうえに、あまり生で聞くことの無い関西弁もなんだか心地よく、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
 先生のお話を聞いていると、世の中には、本当にいろいろな人がいるものだと思います。こちらが良かれと思ってすることも、相手には、そのように思われていないことが多々あるようです。最近は、職場での信頼関係が築きにくくなっているそうです。24時間受付している「労働基準関係情報メール窓口」の存在も初めて知りました。
 雇用契約の内容をお互いが認識し、その約束を守ること。そのためには、就業規則・労働条件通知書の作成が必要だと以前からおっしゃっています。そして、これらは、一度作ったらそれきりではなく、事あるごとに改正して良いようです。今回は、昇給・有給休暇・退職金などについて色々と教えていただいたので、早速、見直したいと思いました。
 雇用管理の問題は、どうしても避けては通れない問題であるものの、わからないことや悩みもたくさんあります。毎日忙しく過ごしている中で、お互いが最大限に能力を発揮でき、安心して仕事をする環境を作るためにも、このような勉強会に参加し、わからないことは解決しつつ、はっきりとしたルール作りをしていくことが大切だと感じました。