元内閣官房副長官補 柳澤協二氏の講演会を開催
憲法違反で欠陥だらけの安保法案
説明できない概念が多い、政府は自衛官や国民のリスクを語れ
6月23日、協会は元内閣官房副長官補・柳澤協二氏を講師に「日本の進路を問う講演会」を開催しました。柳沢氏が用意したテーマは「安保法制と新ガイドラインで日本はどう変わるのか」。会場を埋め尽くした140人の参加者は、自衛隊員の安全にも心を砕く講演に、真剣に聴き入っていました。
私の意見は歴代自民党政権の公式見解
講演の冒頭で柳澤氏は、「防衛官僚として40年間自民党政権に仕えてきた。私の意見はこれまでの自民党政権の公式見解を述べているに過ぎず、それだけ今の安倍政権がおかしなことになっているのではないか」と述べました。
「武力行使」と「武器使用」との違い
講演では「○×事態」など国民にわかりにくい法案を、これまでの自衛隊の具体的な活動を例にして説明されました。安保法案では国家の意思による「武力の行使」という言葉は憲法で放棄しているため使えず、主語を「自衛隊は」ではなく「自衛官は」とし、自衛官個人の判断による「武器の使用」という表現が多用されています。
この問題が深刻なのは自衛官が殺し殺される状況に置かれたときの責任の所在です。武力行使と一体になる「後方支援」は、敵から真っ先に攻撃されるため反撃せざるを得なくなること、「治安維持活動」もいつどこから弾が飛んでくるかわからず、戦闘行為に直結すること。それらリスクのすべてを武器を使用することになる自衛官個人の責任にしようとする無責任極まりない法律だと批判しました。