報告⑥ 在宅医

民間病院に在宅医療の後方支援を期待したい

中川医院院長 中川 彦人

 開業医の中川です。今日のテーマにあるように、民間病院と一緒に在宅医、かかりつけ医も活かしてほしいと思っています。
 近年在宅医療がクローズアップされていますが、在宅医療そのものは従来から行われてきたわけで、特殊な医療ではありません。

県内ですすむ在宅医療の環境整備

 行政が関わる富山県あんしん在宅医療・訪問看護推進会議というものがあり、平成20年から動いています。この間県内開業医のグループ化の推進、在宅医療支援センターの創設、さらにはレスパイトのための医療系ショートステイ病床確保などについて協議され、施策に反映されてきました。現在では、一部県の補助を受けながら県内のほぼ全域に在宅医グループが広がっている状況にあります。
 また富山県医師会では、多職種連携で在宅医療を支えようということで在宅医療体制連携協議会が平成22年から開催されています。もう1つは富山県薬剤師会の取り組みで、平成21年から新川地域の多職種グループに薬剤師の方に加わっていただき、特にがん末期患者の麻薬管理の一切を引き受けていただいています。私どもとしては在宅医療が大変やりやすくなっています。

病院に期待するもの

 市中病院と在宅医の連携を考えた場合に、1つは地域医療連携室の機能強化、在宅医からみて入院退院調整の要の役を担っていただきたいという希望があります。その際できれば情報共有のためのICT化を考えていただきたい。また、施設基準を満たすことができる病院は、在宅療養支援病院の届出を考えていただければ、在宅医のバックアップ機能が果たせると同時に経営改善にもつながるのではないかと思います。
 私どもが病院に期待するのは、①家族が疲れ、患者さんの医療必要度が高い時のレスパイト、②猛暑が続くときの脱水やインフルエンザ流行の際の受け入れ、③高齢社会を迎えての基礎疾患の悪化、④看取りや急変時、これらへの対応です。特に看取りについて、がん末期の方は私どもも頑張っていますが在宅看取りは6割ほどで、4割は何らかの理由で病院にお願いしている状況があります。その困難な場合の対応をぜひお願いしたいのです。