2016年度診療報酬改定と中小病院の将来
中小病院を活かす道シンポジウム2016
協会は5月21日、県医師会、全日本病院協会県支部、県慢性期医療協会、日本精神科病院協会県支部との5団体で「中小病院を活かす道シンポジウム2016」を開催しました。当日は県内の病院関係者ら182人が参加しました。
このシンポジウムは、中小病院の現状、課題、展望をオール富山で語り合う機会として企画したものです。今回は、今年4月に行われた診療報酬改定に合わせ、改定内容と中小病院の将来を考えることをテーマに開催しました。
手間がかかっても地域のニーズに合った医療提供を
講演した厚生労働省保険局医療課の林修一郎課長補佐は冒頭、さらなる高齢化社会において、疾病構造の変化への対応、医療と福祉の融合・協働、サービス提供の効率化が必然的に求められていると指摘し、それらの流れを受けてこの間の医療政策や今回の改定が行われていると説明しました。
林氏は今回の改定実務を取り仕切った立場から、入院医療の機能分化については、地域でのニーズ・患者像に応じた真の機能分化に取り組んでほしいと呼びかけ、今回の改定では「アウトカム」「質」を上げる取り組みを一定評価したことを紹介した他、「看取り」「退院支援」「認知症」「救急」「小児」などに対する丁寧な取り組みが病院運営の実を結ぶと述べました。
また、今回の改定については特定の病院機能の誘導は行っておらず、「傾向と対策」が立てにくいと話し、手間がかかったとしても地域のニーズに合った医療を提供することが最大最強の対策になると述べました。
在宅医療推進の方針は変わらない
在宅医療については、推進の方針は変わらないと発言。その上で、今後の在宅患者像は「密度の高い医療(これまで入院で対応していたもの、看取り等も含む)」「通院が難しくなったかかりつけ患者の診療」「高齢者向け集合住宅における診療」の3つに分かれると説明、必要な医療密度や住まいの場が異なるため、それらに応じた改定を行ったと紹介しました。
外部・内部の要因をしっかり考えた病院経営を
続いて講演した安藤高朗医療法人社団永生会理事長は、現在の病院を取り巻く環境について触れ、今後の医療経営における内部要因を、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という観点で紹介しました。
このうち「モノ」については、2年後に予定されている介護療養病床と25対1医療療養病床の廃止をめぐって、このままでは将来慢性期病床が5万床近く足りなくなるとのデータ分析があることに触れ、医療法上で規定された20対1病床のもう一つ先の考え方として、30対1のような新しい考え方で解決策を見出していく必要もあるのではないかと述べました。
また、慢性期病院が生き残るためとして、内部環境である自院の患者像、マンパワー、設備等に加え、外部環境である地域特性や疾病構造、人口動態などを見極めていき、それらを如何に組み合わせて次に活かしていくかがより重要になっていくと訴え、将来的に「病院」にこだわるより、「医療」にこだわって生きていくという新たな選択肢も考えられるのではないかと述べました。
当日は講演の後にフロア討論が行われた他、長谷川病院院長の長谷川徹先生が「排尿障害の地域連携~ 患者心理に即したアプローチ~」と題して、排尿障害の診断・治療を切り口に地域連携の重要性、中小病院の役割についてお話されました。
*以下は5/21の事前案内の内容です
2016年度 診療報酬改定と中小病院の将来
日時 2016年5月21日(土) 14:00~17:40
会場 カナルパークホテル富山 2階鳳凰の間(富山市牛島町11-1)
参加費無料 医療関係者はどなたでも参加できます
講演Ⅰ(14:00~14:30)
排尿障害の地域連携~患者心理に即したアプローチ~
講師 医療法人社団 長谷川病院院長 長谷川 徹 氏
講演Ⅱ(14:30~15:45)
平成28年度診療報酬改定の傾向とポイント
講師 厚生労働省保険局 医療課課長補佐 林 修一郎 氏
講演Ⅲ(16:00~17:00)
地域医療構想・診療報酬改定と中小病院
講師 全日本病院協会副会長
日本慢性期医療協会副会長
医療法人社団永生会理事長 安藤 高朗 氏
フロア討論(17:00~17:40)
これからの中小病院を活かす道を考える
情報交換会(17:40~18:40)
シンポジウム終了後に開催
お申込みは、電話、メールまたはFAXにて
主催 富山県医師会 富山県保険医協会 全日本病院協会富山県支部
富山県慢性期医療協会 日本精神科病院協会富山県支部 アステラス製薬(株)後援 富山県 富山県公的病院長協議会 富山県看護協会 富山県介護老人保健施設協議会 富山県医療・福祉施設事務長会 富山県精神科病院事務長会(順不同)