貧困・『下流老人』著者 藤田氏が講演
格差と不平等の是正へ
協会は5月15日、『下流老人』(朝日新書)などの著者で、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏を講師に、市民公開講演会「全世代に広がる貧困と格差」を開催しました。県内で生活困窮者支援に取り組む反‐貧困ネットワークとやまが後援しました。
働いた賃金のみでは苦しい生活
講演で藤田氏は、日本の相対的貧困率(※)は15・7%であり、OECD加盟34カ国中6番目に高い数値であることを紹介。その現れとして、日本には生活保護基準以下で生活している人が約3千万人いると述べました。
賃金(年金)が低く日常生活が立ち行かない状況について、藤田氏は付加価値に占める人件費の割合を示す「労働分配率」の低さが根底にあると指摘。日本が貧困から脱却するには、本当の意味で「福祉国家」を目指す必要があると述べ、現在、市場商品となってしまっている医療や介護、教育、保育、住宅などを改めて社会保障として位置付けていく政策が必要と訴えました。
参加者からは、「貧困という重い課題をわかりやすく、希望を持てる形で解説してもらった」「貧困が個人の責任ではなく、社会の仕組みにあることを知った」「現状を客観的に把握し、主体的に声を上げ、具体的に行動することの必要性を強く感じた」などの感想が寄せられました。
※相対的貧困率…可処分所得の中央値の半分(貧困ラインといわれる)を下回る所得しか得ていない人の割合。2人世帯で年間所得約170万円が貧困ラインとなる。
*講演要旨(上)はこちら
*講演要旨(下)はこちら
*以下は事前案内の内容です
「日本全国で生活困窮者が子どもから高齢者まで増え続けています。医療・福祉従事者は生活困窮、貧困に苦しむ市民のために何ができるのか、市民はどのように貧困社会、下流社会を乗り越えていくべきか、一緒に考えたいと思います」(藤田孝典)
*日 時 2019年5月15日(水)19:30~21:00
*会 場 ボルファートとやま 2F 真珠の間
*講 師 NPO法人 ほっとプラス 代表理事 藤田孝典 氏
*対 象 どなたでも参加できます(定員200人)
*参加費 無料(事前に申込下さい)
*主 催 富山県保険医協会
*後 援 反-貧困ネットワークとやま
※ 参加申込はメールまたは電話 076-442-8000 で