報告① 一般病棟

病床機能の役割をしっかり考え他との連携を強化していく

八尾総合病院院長 藤井 久丈

 「施設から地域へ」「医療から介護へ」と言われる中で、「地域に密着した病床」としての対応が一般病院のあり方ではないかと考えています。これからは自院の病床機能の役割をしっかり考え、他との連携を強化していく必要があることは間違いないと思います。中程度から軽症の一次救急は地域の病院として責任を持ってやる。更に得意分野によっては、高度医療もやるということも当然あると思います。

全日病データとくらべて自分の病院を分析

 全日病の200床未満の病院の入院患者の資料と比べて当病院を分析してみました。在宅復帰率が意外に少なく、介護施設や療養型病院に行くことが多い。緊急入院を見ると、救急車で来るよりもウォークインが多い。当院は、家族が車ですぐ連れてくる非常に地域に密着した病院だということに気がつきました。入院経路としては、外来からすぐに入院する人が多く、病院(ほとんどが公的病院)からの転院は比較的少ないのです。特に急性期病院からは全日病のデータでは17.2%ですが、当病院は13.6%と少なめでした。ちょっとびっくりしたのは、療養型病院やあるいは介護施設から紹介されるのが更に少ないのです。以前に比べ、最近は救急車ですぐ公的病院の救急に運ばれてしまう。これに対しては、後方支援ができる病院というイメージを、介護施設や在宅医の先生方にもっと明確に伝える必要があるのではないかと思います。また入院患者の疾患については肺炎や脳卒中など、いわゆるコモンディジーズが多いことや、当院の特徴として乳がんや大腸がんが多いことに気がつきました。

在宅医療・療養型・介護施設の後方支援も

 こういった分析は非常に有効で、その結果は「地域一般病院」といわれるように地域のニーズに合った広範な役割を果たすことを基本として、更にそれぞれの地域ニーズのニュアンスによって、病院の形態を変える必要があるのではないかと思っています。地域救急の一次対応、亜急性期の受け入れ、リハビリ機能、ケアマネジメント機能をきちんとやる必要があると思います。療養型病院や介護施設の後方支援は特に大切です。最近は在宅療養支援を進める上で、自院からの訪問診療や訪問看護リハビリも含め、しっかりやっていく必要があると思います。
 民間病院の役割とは何か、もう一回原点に戻ってみたい。これからどんなことができるかという機能を探ること、いろいろなところと連携しながら可能なメニューを、地域に示すことが必要ではないかと思います。