報告② 回復期リハ病棟

寝たきり防止と家庭復帰を目的に集中的なリハビリテーションを

アルペンリハビリテーション病院院長 室谷 ゆかり 

 日本の寝たきりの3大原因は脳卒中、虚弱、骨折です。この寝たきりを少しでも減らしていきたいという、慢性期医療に取り組まれた病棟の方々のデータの蓄積によって、回復期リハビリ病棟はつくられました。
 この病棟は脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・手術後の寝たきりにつながりやすい患者さんが対象になっています。取り組みとしては、病棟配属の多職種が共同で関わり、集中的なリハビリテーションとケアを通し、自宅などで自立した生活ができるよう準備を行います。
 当院の実績を紹介します。平成23年度は1年間で238名・平均年齢77歳の方が入院されました。疾患別の割合は、脳血管疾患が55.4%、整形疾患が31.5%です。入院時に寝たきりであった方が29.2%でした。在宅に復帰された方が81.2%、平均在院日数は75日です。

患者さんの持っている能力を最大限引き出したい

 リハビリに関わる中で、「回復期の役割は何か」と考えるようになりました。
 通所リハビリを利用されているAさんは、重度の左片麻痺・体幹失調があり、座位になった時もぐらぐらしますが、私たちはAさんの寝返りや起き上がりは見守りでできると考えていました。しかしご本人は「自分はできない」と言い、家族は介助が必要だと認識され、Aさんが持っている機能を最大限に利用して生活することにはつながっていませんでした。過介助になればその人の機能がだんだん落ちていき、結局は寝たきりに近い状態になります。私たちは本当に患者さんにとって必要な関わりが何かや本来持っている能力をちゃんと伝えなければならないと反省しました。
 これからは、どうしたらその方たちが元気になれる方法があるかを見つけてそれを伝える、またそういったことを実践する方々を育てていかなければ、かなり厳しい状況になるような気がします。あわせて、障害をもたれた方が引きこもりになることなく、生活していける場づくりを行っていきたいと思います。