2018.12.09 内多勝康氏講演会

医療的ケア児と家族を支える取り組みを全国に

国立成育医療研究センター「もみじの家」ハウスマネージャー 元NHKアナウンサー  内多 勝康 氏

 協会は12月9日、国立成育医療研究センター「もみじの家」ハウスマネージャーの内多勝康氏を講師に迎え、講演会「医療的ケア児と家族を支える取り組みを全国に~NHKアナウンサーから福祉施設職員への転身~」を開催しました。当日は72人が参加しました。
 日本では小児医療の進歩により救命率が上昇する一方で、常時医療ケアを必要とする子どもの数は増え続けており、19歳以下の医療的ケア児は、厚生労働省の調査で全国に1万8000人以上いるとされています。講演で内多氏は、その子どもたちを支える家族にのしかかる終わりの見えないケアの現状を紹介しました。神経をすり減らしながらケアを続けている母親から「1日1回は、死にたいと思います」という言葉を聞いたことに触れ、家族を支えるためにももみじの家のような施設が全国に求められると述べました。
 内多氏はNHK時代の2013年、報道番組「クローズアップ現代」において、医療的ケアが必要な子どもたちが退院した後の家族の暮らしをどう支えるのかというテーマを取り上げます。このことが、医療的ケア児に寄り添いたいと思い始めたきっかけだったと語りました。その後、国立成育医療研究センターの中に「医療型短期入所」を提供するもみじの家がつくられることを知り、16年春にNHK退職と同時に同施設のハウスマネージャーに就きました。
 医療的ケア児を支える課題として内多氏は、ケアの体制を保障する仕組みや補助金の充実を挙げました。もみじの家では、国が定める障害福祉サービス費と東京都や世田谷区の助成金等を合わせても必要な収入の65%程度しかなく、35%は赤字で寄付に頼っている現状を説明。実情を包み隠さず話し、多くの方と協力しながら、どこに住んでいても必要なサービスを利用できて、幸せを感じることができる社会の実現を目指したいと話しました。

*詳しい講演内容はこちらから

参加者の感想から
◆制度が整い、ショートステイのできる施設が増えれば、地域格差なく医療的ケア児と家族が今まで以上に安心・安全な生活を保障できるのではないかと思います。ただ、その子たちをケアできるスタッフの確保もこれからますますの課題なのかと思いました。
◆理想論だけでなく事業所の収支・運営面についても示していただき、身につまされるものがありました。
◆県内では医療的ケア児についての研修は少なく、学ぶためには県外に行く必要があります。ぜひ、県内での研修の機会を増やしてほしいと思います。

 

 

 

*以下は事前案内の内容です
医療的ケア児と家族を支える
取り組みを全国に
~NHKアナウンサーから福祉施設職員への転身~

日 時 2018年129日()11:00~12:30

会 場 タワー111(トリプルワン)
     3F スカイホール (富山市牛島新町5-5)

講 師 国立成育医療研究センター
    「もみじの家」ハウスマネージャー
     内多 勝康

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「医療的ケア」とは、退院後の暮らしを維持するために欠かせない経管栄養やたんの吸引といった処置のことを総称する表現です。NHKアナウンサーだった内多さんが、退職して選んだ第二の人生の働き場所は、「もみじの家」という子どもの医療的ケアを行う福祉施設でした。ハウスマネージャーとして奮闘するその視点から、医療的ケアとはどういうものなのか、その現実と問題点、求められる施策やサポートなどについて考えていきます。 
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