薬剤師として富山チームに同行
岡山県薬剤師会 片山 克彦
ネットで「いわきから、医療人が去っていく」を目にした。何かしなければならないとの思いでいた時、家内の行って来てよ、の声が後押した。神戸の震災を受けた方からとにかく、顔をつき合わせて見て下さい、とアドバイスを貰った。富山チームに入ったのは全くの偶然だった。
被災者と話をして
被災した人たちにもっともみられたのは精神的な疲れ、それによる体の不調であろう。不眠、食欲不振、意欲の低下。意外に多くの人はそれほど悲惨な様子も見せずに話を聞いてくれる。「ちゃんと寝てる?」「食べてる?」と尋ねると大丈夫の顔が帰ってくる。しかし、少し話が続くと涙が…。でも顔は笑っているのである。
どんな薬でもいい。薬を飲んだと云うことで気分が変わり元気を取り戻してもらえれば、それでいいだろう。体に効く薬よりも気持ちに効果のある薬が今は大事だ。こんな状態でその人にあった薬を探すなどとても出来るものではない。
チームの一員としての薬剤師に何ができるか
このようなとき薬剤師に何ができるか。常時服用している薬を聞き出し、それを医師に伝える。だが処方したい銘柄がない。なら、このあたりでどうですか、と助言できればいい。もし薬剤師がいなければ、医師の負担がそれだけ重くなる。いればより多くの患者さんを診ることができる。在庫管理、医師の得意な銘柄の事前準備など他にもやらなければならないことは山ほどある。やはり医療支援チームに少なくとも一人は必要だろう。
富山の三つのチームに同行させていただいたが、それぞれのリーダーである医師の特色が感じられた。内科医的な動き、外科医的な豪放な姿、そして小児科医の細かい配慮が見えた。どのような薬の選択が正しいのか、患者さんに対してどのように対応するのがいいのか、それぞれでありどれも正解なのだろう。その選択の姿がスタッフの動きにも伝わっていた。
それぞれに特色のあるチームであり、医療のあり方の一面をこの4日間に経験させていただいた。富山チームの皆さんにお礼を述べたい。
(2011年5月15日 とやま保険医新聞)
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