JMAT⑥ 山守氏

歯科衛生士として富山チームに同行

福島県歯科衛生士 いわき市部長 山守 理真

 3月11日(金)午後2時46分、担当患者の処置をしていた時、地震が起きた。長く大きな横揺れが続き、この瞬間から日常生活が一変していった。この2日後、伯母の訃報が入る。生きることに必死で、感情がどこかへ消えてしまったようで、涙も出ない。3月15日、火葬場にて静かに見送った。その後、いわき市救急歯科診療所で診療に携わった。この時、患者を待っているだけでいいのか。疑問が湧き上がってくる。

富山JMATチームに励まされた

 そんな時、富山県JMATとの歯科巡回診療の要請があり、共に避難所へと向かいました。  
 避難所の異様な雰囲気の中での診察に、被災者の心に語りかけるのは困難でした。しかし、杉田さんの一人ひとりに声をかけて回る姿に感銘し、さらに、小熊先生のソフトな物腰に被災者が徐々に心を開く様子に驚愕しました。JMATの情熱に、私も、医療人としての心を取り戻しました。

地元歯科医療従事者の課題が見つかった

 プラークコントロールが不良のために、口臭、むし歯の進行、歯周病の悪化などの兆候が顕著に現れています。また、避難生活のストレスによる、くいしばりや口腔乾燥症に気付かない方が多くみられました。私たち、地元の歯科医療従事者が出来ることが沢山あり、課題が見つかったのです。口腔ケアの重要性について、もっと語りかけなければなりません。「健康はお口から」です。  
 この貴重な経験をもとに、福島県歯科衛生士会に報告し、本会の災害支援の体制作りの参考にさせていただきたいと思います。毎日、余震は続きますが、歯科衛生士としてできることから前進して参ります。
 最後に、JMATの関係者の皆様には、地震・放射能の不安がある中、支援のため来市していただき感謝と御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

(2011年5月15日 とやま保険医新聞)

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