2016.11.28 第38回定期総会 決議文
安倍政権は、年末の来年度予算編成に向け、社会保障費抑制のための作業に入った。そのターゲットは今年もまた医療と介護とされている。特に、高齢者を対象とした給付削減・窓口負担増が狙われている。
経済財政諮問会議は、高齢者対策が社会保障のなかの不公平であるとして、様々な負担増メニューを提案している。財務省もまた、2017年度に予想される社会保障費の自然増6400億円を5000億円に抑えるべきと迫り、削減額が1400億円に届かなければ、2018年度診療報酬・介護報酬同時改定への影響は避けられないと脅し、更なる削減メニューの追加を狙っている。
このように公的給付を削減する一方で、国民には負担を押しつける政策は皆保険の空洞化、社会保障の後退を招くものであり、協会は断固反対を表明する。世論調査での国民の願いの第1位は常に社会保障充実である。政府は今こそ、国民の声を真摯に受け止めるべきである。
富山県保険医協会は、1977年の準備会設立から苦節40年、当初あった誤解や偏見の解消に努め、会員を増やし、連携を広げてきた結果、今日、医療界に止まらず幅広い方々から期待と信頼が寄せられる団体となった。
協会は、これまでの活動を継承し、更なる高みをめざすため、今定期総会において、若い世代で構成する役員・事務局体制を提案するものである。
協会は、保険診療の充実と保険医の権利を守るという協会設立の趣旨に則り、県民の健康の守り手として地域医療充実に献身するとともに、我が国の医療、社会保障の改善のために奮闘することを表明するものである。
協会はまた、医療問題だけでなく広く社会問題や国民生活に目を向け、健康と生命を守る医師・歯科医師として、ヒューマニズムの立場から平和、環境、人道支援等幅広い活動を展開する。
声明「消費税増税法案と社会保障制度改革推進法案の採決に抗議する」
当会理事会は、昨日の衆議院での消費税増税法案と社会保障制度改革推進法案の採決を受け、表題の内容で声明を発表しました。
声明
消費税増税法案と社会保障制度改革推進法案の採決に抗議する
5割を超える消費税増税反対の国民の声を押し切り、6月26日、消費税増税法案と社会保障制度改革推進法案が衆議院で採決された。国民のいのちと健康を守る立場から、私たちは今回の採決強行に強く抗議する。
国民世論は消費税増税にも、社会保障改悪にも強く反対している。デフレが続き、格差社会の深刻化、日本経済の好転の目途も立たない中での消費税の増税は、国民のくらしと我が国の経済、財政を一層困窮なものとすることは必至である。消費税は低所得者ほど負担が重い逆進性があることは明らかであるが、今回の採決にあたっては消費税増税だけが先行され、格差是正のための所得税や相続税の最高税率引き上げなどは先送りされ、低所得者対策も結論が出ていない。
一方、「社会保障制度改革推進法案」は、医療や年金などの個別課題での後退に止まらず、その理念で「国民の自立と国民相互による助け合い」が強調され、「公助」は必要最低限、補完的な役割に限定され、国の社会保障に対する責任を事実上放棄するものとなっている。
国民が政権交代に託した思いは、貧困・格差を拡大させてきた新自由主義・構造改革路線の政治からの脱却であった。消費税増税と社会保障後退は、こうした願いに真っ向から背く行為と言わざるを得ない。
国民生活、社会全体に重大な影響を及ぼす法案が、まともな審議時間もかけずに強行採決されたことは断じて許されない。
私たちは、参議院での徹底審議を求めるとともに、国民のいのちと健康を守る医師として、「社会保障・税の一体改革構想」の問題点を広く国民に知らせ、撤回を求める世論喚起の活動を引き続き展開する決意である。
2012年6月26日
富山県保険医協会6月度理事会
過去の声明文など
2012.6.13 大飯原発の拙速な再稼働に反対する 矢野会長が談話