2015.10.10  富山県在宅医会 秋の研究・交流会

富山県在宅医会 秋の研究・交流会から

今注目の認知症ケアを学ぶ

 10月10日、富山国際会議場メインホールにおいて、富山県在宅医会主催の秋の研究・交流会が開催され、当日は在宅医療に携わる医師や看護師等482人が参加しました(協会後援)。
 今回は、新たな認知症ケアとして注目されているユマニチュードをテーマに企画されました。

声に耳を傾け肯定することが本人の安心につながる

6面:山口氏

講師の山口晴保氏

 基調講演では群馬大学医学部保健学科の山口晴保教授が「〝人間らしさ〟に働きかけるユマニチュード~「ケアする側」の脳活性にも有効~」と題して講演。山口氏は、認知症の有病率は75歳を超えてから5歳ごとに倍増し、95歳以上になると八割に認知症の症状がみられること、日本の高齢者が亡くなるまでに認知症になる確率は50%であることに触れ、認知症は病気であり老化現象であると紹介しました。
 アルツハイマー型認知症については、生活管理能力が落ちてくること、忘れたことを指摘されても思い出せない自覚のなさが特徴であり、介護者が本人に自覚がないことを理解して接することは周辺症状の予防のためにも大切と述べました。
 また、ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」の四つの柱を基に今まで言語化されていなかったケア手法を具体的技法としてまとめたものと説明。絶えず本人の尊厳に配慮し、あなたを愛していますとメッセージを伝え続けることが重要であると述べた他、医師ができる認知症の非薬物療法として、本人の声に耳を傾け肯定すること、ほめることが本人の安心ややる気につながると話しました。

急性期病院にこそ必要な認知症ケア

6面:井部氏

講師の井部俊子氏

 続いて特別講演として聖路加国際大学の井部俊子学長が「『ユマニチュード』という革命」と題して、ユマニチュード創始者のイヴ・ジネスト氏が聖路加国際大学病院を訪れた際の出来事や対談した様子を紹介。急性期病院では今や当たり前のように認知症の方が入院しており、ケアを提供する際に拒否等難渋する場面も多いが、医療過密度が高い急性期病院でこそケア技法として体系化されたユマニチュードを導入すべきではないかと述べました。
 参加者からは「どのようにケアしたら症状が落ち着くかを知ることができた」「認知症の方の対応に日々悩んでおり、実践していきたい」といった声が聞かれました。