2016.10.01  歯科医療政策講演会「10年後、20年後の歯科医療の展望と歯科医師の役割」

厚労省歯科技官トップの田口歯科保健課長が来県

 10 月1日、県歯科医師会と協会の共催で、「 10年後、20年後の歯科医療の展望と歯科医師の 役割」と題して歯科医療政策講演会を開催しました。富山県が後援し、歯科医師92人が参加しました。
 講師は、厚生労働省医政局歯 科保健課課長の田口円裕氏。田口氏はさまざまな統計データを用いながら、従来の疾患対応型から口腔機能の維持・向上に主眼を置いた歯科医療へとシフトしていくと予見しました。 

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続いて県厚生部次長の前田彰久氏は、全身の健康に大きく寄与する口腔保健の重要性に触れて挨拶しました。
 
 講演で田口氏はまず歯科医療の現状として、国民の全ての年齢層で残存歯数が増加し、特に高齢者に顕著 であること、補綴治療が減少し保存歯周治療が増加していることを解説。歯科受診患者が高齢化し、在宅医療の伸びが大きいことを解説しました。
 
 また、厚生労働省が「健常者型」と呼称する、歯の形態回復を主眼とする従来型の歯科治療から、口腔機 能の回復を目指す「高齢者型」のそれへとすでにシフ トしつつあり、周術期の口腔機能管理や在宅歯科医療の充実、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所など、診療報酬の面でも疾病構造と人口構造の変化に対応してきていると述べました。
 
 %ef%bc%91%e9%9d%a2%ef%bc%9a%e7%94%b0%e5%8f%a3%e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%83%bb%e4%bc%9a%e5%a0%b4%e5%9b%b3その上で講師は私見と断りつつも、生涯にわたり口 腔機能を維持するために、エナメル質初期う蝕管理のような「重症化予防」の観点で今後、歯科医療が充実していくのではないか、とまとめました。
 
 閉会挨拶に立った太田真治協会副会長は、「今回投げかけられた波紋を大きく広げるのは我々の役目。歯科医療の発展に向けてぜひお願いしたい」と決意を述べました。