保団連とともに個別指導改善をめざして

日医「全力をあげ指導改善」

協会が要請 糸氏常任理事が言明

 協会の高野会長は、11月18日上京し、日本医師会の糸氏常任理事(当時)を訪ね、川腰医師「個別指導」事件の対応について要請し、懇談しました。席上、糸氏常任理事は「指導改善へ全力をあげる」との考えを表明した。同日、山田理事は厚生省担当部局との交渉をおこないました。

「中医協でも議題に」(協会)

 11月18日の日医への要請・懇談は、保団連が提起し、診療報酬問題を中心テーマとして行なわれたもの。富山の川腰医師「個別指導」事件も重要テーマに加えられた。日本医師会の糸氏英吉常任理事との懇談には、保団連・室生常任幹事と高野昇治協会会長、平井隆事務局長らが出席しました。
 要請・懇談では、診療報酬問題の後、高野会長と平井事務局長から「個別指導」事件について説明と要請を行ないました。これに対して、糸氏常任理事は次のように発言されました。

 

糸氏常任理事の発言(要旨)

医療費抑制策に今回の事件を対峙して

「30代の若い医師が亡くなられたことについて深刻に受けとめている。政府は医療費抑制ということで、レセプトの点検、指導・監査の強化をすすめようとしている。これに立ち向かうために、この事件を問題にしたい。
 中医協でもすでに話題にしているが、今後も中医協(当面11月24日に開催)などで、とことん突っ込んでいきたい。それが川腰医師に報いる道であると思う。

 

 

特に「自主返還」は問題

 まず、昔の合意事項(指導大綱や日医・日歯との申し合わせ等)が守られていたなら、こんなことは起こらない。
 また、私も(大阪で開業しており個別指導を)受けたことがあるが、死なないまでも指導で嫌な思いを持つ先生は多い。指導は行政の立場で行なわれる、臨床医の立場をもっと考えてもらわないといけない。
 特に、(指導の時に)従来から『お金を返還しろ』と言う。『自主返還』とはいうが、これは『強制』と言ってもよい。(指導してしばらく)様子を見てから返還を求めるのならわかるが…。立会人、指導場所の改善などとあわせて、これは変えてもらわないといけない。

富山は指導が多すぎる

 大体、富山県は個別指導の数が多すぎますよ。(一柳技官が80歳と高齢なことについて)大阪ではせいぜい70歳位である。富山でも、ぜひ県医と協会が相談しながら良くなるようにしてほしい。私も近いうち、富山県医の広瀬会長と会う予定である」。

日医、会長名で厚生省に申し入れ

 日医の村瀬会長は、11月24日、厚生省のただ保健局長宛てに、保険指導・監査が行きすぎにならないよう、各都道府県に通知するように求めた「申入書」を提出しました。これを受けて厚生省は近く「通知」を出す予定である。

申入書(全文)

先般、富山県において保険医の自殺問題がありました。この件については、既に国会や中医協の場でも論議されておりますが、保険の指導・監査に当たっては、あくまでも行き過ぎにならぬ適性且つ妥当な指導が行なわれるよう都道府県に通達をしていただきたく、ここに申し入れを致します。

平成5年11月24日 日本医師会 会長  村瀬 敏郎

 (1993年12月1日付特集号より)

富山個別指導事件トップにもどる