報告⑤ 公的病院

切れ目のない医療確保のために民間病院との連携を強めたい

済生会高岡病院院長 飯田 博行

 県内には公的病院が24ありますが、規模や機能が様々なこと、また地域性もあることはご存じのとおりで、200床未満の公的病院は11あります。
 2007年12月に出された公立病院改革ガイドラインによれば、公的病院の役割とは「地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供すること」とあります。特に公立病院においては、政策的な医療が多くなっており、救急、周産期、小児科、災害医療、感染症に対する医療などを担っています。

地域医療連携室が退院支援と地域連携の窓口に

 近年、病院内に地域(医療)連携室の名称で専門の部署を置いて退院調整などの活動がなされています。前任の県立中央病院の地域連携室の業務をみると、医療法で定める地域医療支援病院ですので、それに関連しての地域の医療機関との連携や研修会等の開催。また、紹介・逆紹介患者の情報管理と返書の管理を行っています。
 特に最近は、入院初期の段階から退院支援が行われており、県立中央病院の入院患者の転帰状況(平成23年度)をみると、在宅27.9%、転院・診療所54%、転所・施設11・3%となっています。
 一方、済生会高岡病院では紹介される紹介元施設の内訳をみると、老健・特養89%、療養型民間病院11%となっています。その患者さんの転帰をみると、紹介元施設が61%、療養型民間病院が22%という状況です。さらに当院への紹介入院患者の年代をみると高齢者の方が多く、80歳以上の方が7割を超えている状況にあることがわかりました。

亜急性期、回復期を担う民間病院の役割が重要

 医療においては、高度ないし一般急性期から、亜急性期、回復期、慢性期への切れ目のない継続的な医療や介護の提供体制を確保する必要があります。この中で、亜急性期、回復期を担う民間病院の役割が今後も重要ですが、民間病院から介護病床、老健や特養など次の施設への紹介や在宅へのスムーズな移行も課題としてあります。
 公的病院では、連携している民間病院との緊密な連絡や情報共有に努めていますが、今後とも交流会等を通じ、意見交換をしながら病病連携を推進していきたいと思っています。