2015.10.24  中小病院を活かす道シンポジウム2015

地域包括ケアでの中小病院の役割を考える

中小病院を活かす道シンポジウム2015

県医 協会 病院3団体の共催で

6面:病院シンポ会場図 協会は10月24日、県医師会、全日本病院協会県支部、県慢性期医療協会、日本精神科病院協会県支部との五団体で「中小病院を活かす道シンポジウム2015」を開催しました。
 当日は県内の病院関係者ら253人が参加しました。

このシンポジウムは、中小病院の現状、課題、展望をオール富山で語り合う機会として企画したものです。今回は、2025年の医療需要・病床必要量等を示す「地域医療構想」を県が策定することに合わせ、地域での中小病院の役割を考えるをテーマに開催しました。

構想に関わらず今後の病院経営を考えてほしい

6面:井内先生② 講演した井内努富山県厚生部長は、一般病床の利用率が下がっていることについて「全国的な傾向。入院が必要な患者が減ってきているためで、各病院の個別サービスが低下したということではない」と紹介し、「今回の構想に関わらず、今後入院患者が減っていく環境の中で病院経営を考えてほしい」と訴えました。
 また、政府が6月に示した病床数の将来推計に関連して「将来病床数の算出式は省令で決められている。算出にあたって県段階の裁量はほとんどなく、病床数の記載については厳しい内容となる。将来数と構想を実行する段階での整合性をどうするかが課題になる」と述べました。
 今後の県の取り組みについては「医療機能を維持しながらいかに県民への医療提供体制をつくるかが県の役割。そのためにも今後実施する実態調査に協力いただき、医療機関の機能分化や連携推進に必要な施策を現場から提案いただきたい」と呼びかけました。

地域包括ケアシステムでの「自助」と「互助」の拡大

6面:二木先生② 続いて講演した二木立日本福祉大学学長は、地域包括ケアシステムについて、「地域によって多様であるが、この数年は地域密着型の中小病院も含めて考えられるようになってきている。2013年の『社会保障制度改革国民会議報告書』でも医療(病院)の役割を強調している」と紹介しました。
 中小病院の役割については「病院は『治す医療』から『治し・支える医療』の担い手に変化することが求められているが、『治す医療』の役割がなくなるわけではない。健康な高齢者が急性疾患になった場合に、最初から『支える医療』の対象と決めつけてしまうことは社会的に許されない」と述べました。
 最後に国の方針に触れ、「国はお金がないことを理由に、共助(社会保険)と公助の大幅拡大は想定しておらず、自助(家族介護等)と互助の拡大を目指している。また『骨太方針2015』で医療・介護費の抑制を目指していることが、地域包括ケアシステムを確立する上でのブレーキになる」と指摘しました。
 当日は講演の後にディスカッションが行われた他、谷野呉山病院診療部長の島﨑正夫先生が話題提供「認知症、BPSD(周辺症状)への対応」と題してお話されました。