訪問診療の実際をお見せします!
~診療風景のビデオ映像を見ながら~
日時 10月10日(水) 19時半~21時半
会場 富山電気ビル 5F中ホール
講師 大菅歯科医院院長(朝日町)大菅 明 先生
小林歯科医院 (富山市)小林 岳志 先生
協会は10月10日、第4回となる歯科訪問診療研究会を開催し、41名の参加がありました。
今回は実際に訪問診療を行なっている現場のビデオ映像を視聴しながら、治療の進め方や器材の使い方、患者とのコミュニケーション方法などを話し合うというもので、参加者は熱心にメモを取りながら、スクリーンに食い入るように集中していました。
認知症患者の困難症例も
第1部では施設や居宅で療養する高齢者を継続的に訪問して義歯調整や義歯新製を行なう症例を、第2部では認知症が進み意思疎通が困難、廃用が進行して体位が保てないなど、比較的重度の症例を取り上げました。また歯科衛生士や保健師による口腔ケア症例も紹介しました。
参加者からは、「訪問診療の講演は何度か聞いたが、映像で学ぶ機会は初めてで非常に有意義」(歯科医師)、「今後、内科と歯科の共同で開催してもらえたら」(保健師)などの感想が寄せられました。
講演内容とビデオ映像をダイジェストで紹介します。
【第1部】 要介護者のQOLを支える 歯科訪問診療
富山市・小林歯科医院 小林 岳志
◆症例1
89歳女性 主病:座骨神経痛 自宅で療養(要介護3) 主訴:義歯不適
市内で居宅療養する患者。この日は先日製作した義歯の調整のため訪問。
切削時の粉塵の飛散を防ぐため、ビニール袋内で切削を行なう。
酷暑の最中の訪問だったため、熱中症対策をアドバイスして患者宅を後にした。
◆症例2
90歳女性 主病:脳梗塞、左大転子部骨折 施設で療養(要介護3) 主訴:義歯不適、う蝕
施設で療養する患者。この日はう蝕処置と義歯調整を行なった。
う蝕処置には歯科医師会で貸し出しているポータブルユニットを使用。これ一台で十分足りる。以前、義歯を製作したこともある。
切削のあと、ダイレクトボンドを使い、充填する。強度や審美性では劣ることもあるが、操作性の良さから訪問診療では使用することがある。
◆症例3
86歳女性 主病:脳梗塞、認知症 施設で療養(要介護4) 主訴:義歯不適、義歯新製希望、摂食嚥下機能訓練希望
施設で療養する女性。脳梗塞を患った後、流動食となっていたが、先日、義歯を新製して、この日は嚥下機能訓練を行ない、その後、施設の管理栄養士と食形態の改善について検討した。
なお、この患者は義歯を入れたことで要介護度が改善(4→3)した。